色褪せぬまま 見上げ歩くよ

煌びやかな世界の端っこ

【ネタバレ】ヒメアノ~ル2回目の感想

 

ヒメアノ~ルを観に行ってきました。2回目です。2回目の方が1回目の時より何があるか分かるから怖くないのかなーって思っていたんですけど、2回目の方が怖かった。何が起こるか分かるし、想像できるし。

1回目の時は「森田剛 単独初主演」という言葉に乗せられて映画を観たので、2回目はストーリーを追おうとそこは一旦忘れて集中しました。タイトルで一瞬我に返っちゃったけども……。

わが県では1日1回しか上映してなくて、それがまさかの21時上映だったので怖いのなんの。映画館出てから車に乗って鍵をかけるまでが勝負みたいな感覚でした。誰と勝負してるのかわかんないけど。

 

やっぱり最初の衝撃は1回目でしか味わえないから、何も知識を入れずに見て欲しい。だから今公式で流れてるお蔵入り特別映像見ないでね…… あれはネタバレの塊というかあの……確かにお蔵入り特別映像!!みたいな……是非映画館で見て震えて欲しい。でも映画を観たいけど過激なシーンに耐えられるか分かんない人はお蔵入り特別映像を見て大丈夫かどうか判断して……

 

そんなわけで、以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

1回目を観た時はとにかくストーリーを文字に書き出して、自分の中からヒメアノ~ルという作品をアウトプットして冷静になりたかったんですが、今回は1回見たこともあってストーリーだけじゃなく、キャラクターがどの動きをすることによってどのように結末へ繋がるのかを観ることができたと思っています。

2回目は森田を正当化したくて映画を観たんじゃないかと思うほど、1回目とは違った観方をした。1回見たからという余裕もあったんだと思う。

あ、今更ですけど今回も森田正一を森田、森田剛を呼ぶときは剛くんと書いています。(私はいつも森田剛を呼ぶ場合は森田さんなんですけど、紛らわしいので……)

 

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※長ったらしい文章が続くときは大まかな見出しつけて、細かいやつはただの箇条書きです。

 

 

 岡田くんの嘘 

どうにか森田を正当化したいと思ってしまった私は、岡田くんの荒探しをしてしまった。無理に探していたつもりはなかったけど、岡田くんの一挙一動に結末に至った影響を考えてしまった。岡田くんって、森田と同じようにその場しのぎの嘘を作中で何度もしてるんだよね。森田の嘘が際立っておかしく見えるだけで、岡田くんだって嘘をついてその場をやり過ごしているのに。ただ、岡田くんの嘘って現代社会を生きていくためには必要な嘘というか。だから完全に悪いとは言い切れないところもある。私だってその場の流れを切りたくないとか、人間関係を円滑に進めたいとか、早く帰りたいからとか、そんな些細な理由でその場しのぎの嘘を使っている。

ユカちゃんの働いている喫茶店で森田を見つけたときに、安藤先輩に知り合いかと尋ねられて「高校のときの同級生で、でもちゃんと話したことはない」と答えた岡田くん。結末知ってる身としては、ハ??みたいな。いやお前、高校1年生の時初めてできた友達森田だったんでしょ? と2回目ならではの感想を抱く。「岡田くん? 久しぶり、変わったね、頭とか」「変?」森田と普通に会話してる岡田くんがむしろ怖い。いじめていた当人ではないにしろ、初めてできた友達がいじめられているのを知っていた岡田くんが「でもちゃんと話したことはない」と森田を紹介して森田に声を掛けられるってすごい。少なからず岡田くんの人生に影響を与えた人間でもあるのに、よく近づけるよなぁと。私がもし岡田くんと同じように森田を売ったとするならば、数年後街で見かけても罪悪感で押しつぶされそうになるから絶対に声を掛けないけど。ユカちゃんに森田との仲を尋ねられたときも「数年ぶりに再会して、特に深い仲ではないんです」と答え、ストーカーしている疑惑の森田からユカちゃんを守るという話になったときにも岡田くんはユカちゃんに「電話したんですけど、とらなくて」と言っている。「ヤロー警戒して電話取らなかったんだな」「電話してないですよ」「え?」「いやー森田くんいなくてよかったぁ」安藤先輩にさらっと嘘をついていたことを告げる岡田くん。こういう嘘って普通にあり得る嘘だから流していたけど、その嘘が積み重なって人生が変わってしまった少年を知ってしまった2回目はそれだけでもちょっとつっかえるものがあった。

  • 会社の金を横領しろと和草くんが婚約者の久美子に言っているシーンで、婚約者が和草くんに何があったのか聞きながら体を触りながらだだをこねているのが個人的に好き。婚約者は和草くんのことが好きで、心配しているんだなぁかわいいなぁって見てた。ああいう子は嫌いではない ※変なことを言い出すまでは
  • ユカちゃんの友達のアイちゃんの声の張り具合がすごい。誰と喋ってる? 遠くの人?ってくらい。
  • 「だってユカ、今好きな人いますから」「え」「だって私ら幼稚園から一緒なんだよ?」のシーンで「養豚所?」とついツッコミを入れてしまって妹に怒られた私
  • 「それ以上言ったら私怒るよ!」というユカちゃんめちゃくちゃかわいいし、それに対してテヘペロみたいな顔をするアイちゃんの対比すごい。アイちゃんは悪くないけどユカちゃんが可愛すぎるだけです。
  • 「で? 岡田さんの気持ちは?」「……そりゃあいいなぁって思います」「それは付き合っていいレベルの『いいなぁ』ですか?」「いや、付き合えたらいいなぁの『いいなぁ』です」「そうですか……それは死ぬほど残念です」「俺も、死ぬほど残念です」のやりとりが恋愛漫画みたいで、これはこれで違うものとしてよかった。これのせいで色々と物事が転がり出してしまうんだけど。
  • 森田に言われて会社の金を横領しようとする和草くんを婚約者が見つけるシーン。「私相談してくれないことがさびしいの」と和草くんに詰め寄る婚約者を見て、こんな女いる!いるよ!!と妙にリアルさを感じてしまった
  • ちょっと映画には関係ないおたくてきな話*1
  • 「今までやられたことぜんぶ、思い出しながらやんなよ」とバットを和草くんに渡す森田。黒の前髪が幼さを押しだしているのに、可哀想な人に見えて仕方がなかった。同級生を殺そうとしているのに、可哀想に見えた。

 

 森田の家庭状況 

森田の家庭状況ってどうなっていたんだろう。森田を止められる、助けてあげられる人はいなかったのかな。和草くんはいじめられて、嫌だから退学したいと親に掛け合ったけどやめさせてくれなかったと婚約者に話していた。よくよく考えるとわたしが知っている森田のことって、見たことと、周りが喋ったことしか知らないんだよね。卒業する1週間前、河島を山に呼び出して殺したのは、なんで1週間前だったんだろう。正直、あと1週間なのにとも思ってしまった。我慢といったら酷いけど、率直な感想は「もう少しで終わるのに」だった。ガムテープとか紐とかバットとかを用意して、さあ殺そうと思ったタイミングが1週間前だったのかもしれないし、その1週間前に河島にされたことが我慢できなかったとか、そういった理由かもしれない。結果、河島は山で森田と和草くんに殴られて、最後は首を絞められて死んだ。それから森田は変わってしまう。森田は親にも暴力を振るうようになったと和草くんが言っていた。最後のシーンの岡田くんと一緒にゲームをしていた夏の日、森田の家の洗面所においてあったコップには歯ブラシが2本だけあった。1本は森田のもの、もう1本は麦茶を持って来てと頼んだお母さんのもの。森田ってもしかして母子家庭だったのかもしれない。お母さんと、森田と、白い犬の、そんな家族だったのかもしれない。お母さんには森田を止められなかったのか、助けてあげられなかったのか、救ってあげられなかったのか。絶望したような、死んだようなとても人間の目には見えなかった森田を、守ってあげられなかったのかなあ。河島たちにいじめられことがきっかけにもなって、森田はこの世は弱者と強者で分かれていると知って、河島を殺したことで河島よりは強者になった森田は、お母さんにも暴力を振るうようになった。そうやって、森田の家族はどうなってしまったんだろう。

  • 「あたしこれから色んなことしたいなぁ」「色んなことってどこまでの枠組み?」「カラオケ行ったり遊園地とか……あ、岡田くんもしかしてエッチなこと考えてた?」「そういう不純なことは枠組み外っていうか」「私は入ってるよ。枠組みに」こういう恋愛漫画好きです っていうかユカちゃんの可愛さがフルスロットル。
  • 線路沿いを歩いているときに岡田くんのシャツを小さく掴んで見上げるユカちゃんとか本当に可愛さの極み。かわいい。この映画の可愛いはユカちゃんに託されている程かわいい。
  • 岡田くんがユカちゃんとチューしたあとにすぐに胸を揉んで、「……ごめん」という雰囲気になった時にユカちゃんが意を決して岡田くんの手を掴んで胸にもってくるユカちゃんかわいい。こういう一生懸命な子可愛いです。たとえ10数人経験していたってかわいい。
  • 岡田くんとユカちゃんがセックスしている部屋の外でそれを森田が見ていて、そこから不穏なBGM。不穏しか感じられない。映画がこれから切り替わるかのようなタイトルが出てくる。それが公式に載っているカタカナの「ヒメアノ~ル」ではなく、少々掠れた英字で書かれた「HIMEANOLE」。カタカナと英字だと与えられる印象が私には違うように感じるから、初回でも2回目でもおっとなった。流れるかのようなカタカナと、掠れた英字。この後の展開を連想させるようなフォント。映画のタイトルが中盤で出てくるのも面白いけど、公式や色んなところで出ているこの作品のフォントとは違ったフォントなのが個人的には好き。タイトルの次に出て来た「MORITA Go」にはさらに興奮した。観るたびに何度でも興奮しそうな気がする。
  • 森田がどこかへ歩くたびに追いかけるようにBGMが徐々に大きくなっていて、森田が部屋の扉を大きく締めたところで急にぶっつりと切れる。これはゾクゾク来た。前半とは絶対的に何かが違う感じが好き。ゾクゾクする。あの音を聞くためにもう1度映画館行ってもいいくらい。
  • 和草くんに電話して岡田を殺そうと言われて、警察へ出頭しようとするときに和草くんの車の停め方が凄く気になった。警察署の中でよくもあんな荒っぽく運転できるな……。そこに和草くんの性格が出ているのかもしれない。
  • 婚約者が謝る和草くんの手を掴む。「殺そう。森田って人、殺そう。私和草くんとまだ一緒に居たいよ」これも一種の愛で、婚約者も幸せになりたいんだよなぁと思うとこの結論に至るのも分かる気がする。けれども、和草くんが出頭していたら違った未来もあった。この映画って割と女性の行動で物語が加速して行っている気がする。ユカちゃんが岡田くんと内緒で付き合うことになったから*2森田は岡田くんを殺そうと企むことにもなったし、婚約者が森田を一緒に殺そうと持ちかけたから悲惨な未来に行きつくきっかけにもなった。
  • 和草くんと婚約者を殺して部屋に火を放ったあとのユカちゃんのバイト先でご飯を食べる岡田くんと安藤先輩。岡田くんと目が合って笑うユカちゃん、笑い返す岡田くん。振り返った安藤先輩がユカちゃんに笑いかける。狭いコミュニティーでの内緒の恋愛と三角関係。それをじっと見つめているのが森田。1回目のときは何も考えてなかったんだけど、この時森田は岡田くんとユカちゃん、どっちを見ていたんだろう。岡田を殺すという目的と、前から狙っていたユカちゃん。薄く開かれた目はどっちを獲物として見ていたんだろう。森田が岡田くんを殺そうと言い出してから、唯一の何もなかった邂逅。このあと切羽詰まった森田はユカちゃんのバイト先に乗り込むんだけど、選択肢が違っていたらこのときにでも岡田くんとユカちゃんに手を出していたのかなぁって。
  • 生理の女性を襲うシーン。ここまでざっくばらんに言ってるからここで隠す必要はないのでは……と思うけど一応反転で。「泣いて暴れる女性に大きな声で腕を振りかぶって脅す森田。パンツを脱がしたら生理で、一層泣く女性。この辺りは完全に女性目線でうっわぁ……としか思わなかった。そのパンツを見つめてさっきまでのやる気を徐々に失う森田が女性を見つめる。私もそういう性癖の持ち主ではないので森田がそんな性癖を持ってないことに安堵した一方、実は監督はそれを舐めさせようとしていたというからもう監督……!なんていうか女性にとって他人ごとではないものを見せつけられ感じが強かった。
  • パチンコで大勝ちして隣のおじいさんに話しかけられて笑った時の森田の顔はどこにでもいそうだった。森田の楽しそうな顔を見たのはここだけだった気がする。森田って上京してから何を目的に生きてきたんだろうと思ってしまった。
  • パチンコ帰りに男2人にカツアゲされる森田。カツアゲしてきた男は殺したのかどうか考えたけど、そのあとのネカフェでないとパックから3時間コースに変更したところを見るとカツアゲされたからあの男たちは生きているんだろうなと。前記事でコメントをくださったみささんありがとうございます~。
  • アイマスクにイヤホンで寝る森田が、過去のことを思い出して頭を振る。こびりついていたものを追い払うかのように頭を強く左右に振って、追い出すかのように耳を強く叩く。その姿が痛々しくて憐みしか感じなかった。
  • 私がこの映画で唯一飛びあがったシーンが岡田くんが安藤先輩にユカちゃんと付き合っていることを話したシーン。あれ初見だったら絶対ビビると思うんだ……2回目はびびりすぎて耳押さえてた。
  • 帰ってきて妻の変わり果てた姿を見て、そして森田に殺される。そして警官の窓を叩く音で起こされる森田はアイマスクにイヤホンだった*3。森田が寝るシーンはアイマスクにイヤホン姿だったから、もしかして森田はそれが無いと眠れないのかもしれない。痛々しい。
  • 警官と揉み合いになって胸を刺すシーンがR18の境目だということを知って、実際に観てみたけどそりゃあもう目を覆いたくなるものだったからなるほどなと思った。包丁をゆっくりと刺すとR18になるらしく、監督はゆっくり刃先を入れたかったけどR15に留めるために引きのアングルにしたらしい。詳しくはこの記事→
  • 街を歩く森田の脳内で響く声が、結末を知っている身としては耐えられなかった。「お前みたいな奴はさっさと死ね」「死ね!」「熱くなるな」「みんな殺せばいいんだよ」「焼肉食いてえな」「死ねって言ってんだろ!」 *4
  • 岡田くんが内緒でユカちゃんと付き合っていたことで岡田くんと絶交した安藤先輩の元に現れた、というかバイト先に現れた森田。会社をじっと見つめていた森田に安藤先輩は声をかけた。岡田くんがいるかどうかを尋ね、いなければ用は無いと立ち去る森田。その背中を安藤先輩が追いかけた。森田が自分から接触した人で、そのまま殺すという過程に至らなかったのが安藤先輩。安藤先輩には殺すという目的が無かったからか、最終的な「邪魔だから」という理由で警官から奪った拳銃を向けることになる。
  • くねくねと路地を曲がって行きついた行き止まりで、森田は安藤先輩に尋ねた。背負っていたリュックからごそごそと何かを探しながら。「岡田って奴の住所知ってる?」「なんで?」「殺そうと思って」岡田くんに対しては明確な殺意が森田の中にはあるんだよね。言いかえれば固執しているようにも見えるというか。リュックを探りながら平然と答える森田に、何言ってんだコイツとも聞こえそうな声音で「お前やっぱりおかしい奴なんだな」と言い放つ安藤先輩。森田に対して最初からそう評価していた安藤先輩が、本当におかしい奴(ここでは危ない奴というかバカなことを言うような軽い感じのおかしい奴という感じの捉え方)と呼んで、拳銃を取り出した森田が一言。「そうだよ」安藤先輩にとってはおかしい奴で、森田もそれを自覚している。「そうだよ」の肯定する四文字が、自分がどうおかしいように思えていたのだろうか。
  • SOKT*5のセリフ。「高校に入ってすぐ森田くんとは仲良くなったんだ。ゲームの趣味とかも合ったし*6。でも森田くんが河島にいじめられて距離を置いたんだ。そのあと森田君は登校拒否するようになって。河島が森田くんを呼び出すように俺に言ったんだ。『いじめる相手がいないとつまらないから』って。だから森田くんに『河島が今までのことを謝りたいから』って呼びだしたんだ。」呼びだしてからのアレ、教室での自慰シーン*7*8。女子生徒の悲鳴が飛び交う中で笑う河島と、河島の仲間と、ぼくには関係ないという顔をする岡田くん。「なあめっちゃうけるだろ?」「そうだね、うわぁ」と河島に合わせて笑った岡田くんと森田の目が合う。「その時の森田くんの目が忘れられないんだ。絶望したような、死んだような、とても人間の目には見えなかったよ」いじめの原因の河島が悪い、それに逆らったら自分もいじめられるかもしれない、だから森田を呼び出した、ってことはわかるんだけど……わかりたくないんだよね。森田は「学校へ行かない」という選択肢で自分を守っていたわけで、それを岡田くんの「今までのことを謝りたいから」という言葉で再び学校へ向かおうと思ったあの気持ちはどうなったんだろう。仲の良かった岡田くんの言葉で学校へ行くと選んだ森田は絶望したような死んだような目をして、そこで森田の道が変わってしまったのかもしれない。 もちろん森田が哀れなんだけど、これって映画を観ているこっち側も他人事じゃないように思えて苦しかった。徐々にヒメアノ~ルという世界が、こっちと混ざり合ってくるような奇妙な感覚。他人事じゃないかもしれない。
  • 重症の安藤先輩と会話する岡田くんとユカちゃん。見るからに痛々しい姿で、「俺こそごめん。絶交なんて言って」と謝る安藤先輩。「俺ら親友だよね」こくこくと頷きながら「もちろんです」と答えた岡田くん。場面が変わって、弾が無くなった銃を見つめて、川に投げ捨てる森田。哀愁を背負った背中。その瞳は何を映しているのか分からない。安藤先輩と岡田くんが友情を確認して、岡田くんが泣き崩れた後にこの銃を捨てるシーンだったから、もしかして森田が友達を失ったという意味を持たせているのかなぁと深読みしてしまった。寂しそうだった。ただ空になった銃をもう使えないからと川に捨てるだけのシーンなのに。
  • 森田にユカちゃんが襲われるというシーンで、ユカちゃんは20デニールくらいの黒のストッキングをはいていた。監督が安っぽい女に見せたかったみたいなことを言っていた気がするんだけど……どこで読んだか、どういう意味を持たせたかったか忘れてしまった…… 
  • 岡田くんが家に帰って目の当たりにした、押し倒されているユカちゃんとズボンを脱いで馬乗りになった森田。岡田くんを見て瞬時に包丁を手に取ろうとする森田と揉みくちゃになり、ぶつかった棚からユカちゃんに使おうとして断られたピンクのローターが滑り落ちる。それを手に取った岡田くんが森田の首をローターで締めた時は、ローターをこんな使い方する監督は絶対この人だけだと感心してしまった。もしこれで死んでいたら死因がローターで窒息だなんて他の映画だったら笑いものレベル。奇想天外すぎる。
  • ユカちゃんを背に森田に謝る岡田くん。「あのときのことを怒ってるんだよね」「あぁーあのときかぁ。お前居たっけ」「覚えてない…?」このとき、森田の言葉に違和感を覚えた。森田は嘘をつくときにその場を乗り切るためにさらっと言葉を並べる。けれど、岡田くんに高校生時代のあの時のことを言われると考えたそぶりを見せた。そして包丁を向けたまま、「お前居たっけ」とつぶやく。覚えてないのは嘘なのか、本当なのかはわからない。誰も森田の言葉を見破るほど知らない。動揺を隠しきれない表情の岡田くんを見つめていて森田には、岡田くんはどう見えたのだろうか。
  • サイレンの音で気がそれた森田と共に窓を突き破って落ちる岡田くん。足を押さえながら蠢く森田と、ぼろぼろな岡田くんに警官が近寄ろうとすると、岡田くんを掴んで「どけ!!近づいたら殺すぞ!!」と叫ぶ。ぼろぼろの岡田くんは人質にするにはあまりにも足手まといだった。岡田くんを殺したい森田なら、その場で殺した方がよかったはずだ。逃げるためかもしれないけど、岡田くんを引きずって人質にする姿は、快楽殺人鬼には程遠い。
  • ぜーはーと荒い息を繰り返しながら後部座席に乗せられた岡田くんが説得を試みる。「森田くんもうやめよう」「うるせえよ」「昔はこんなこと、するような人じゃなかったでしょう。ほんとうの森田くんは、優しくて―――」「うるせえって言ってんだろ!!」包丁を足に突き刺され呻く。ここで、岡田くんの知っている「ほんとうの森田くん」に戻れたとして、岡田くんはそれで終われると思ったのかなぁ。ほんとうの森田くんに戻れたらこれまでユカちゃんにやったこと、安藤先輩を撃ったこと、自分を殺そうとしたこと、全部なかったことにできたのかな。
  • 犬を避けようとして電柱に激突。車の前は電柱の形にへこみ、煙とオイルが流れる。日常的に車を運転している私としては事故現場を見るのはつらい。運転には気をつけようと思った。
  • 「岡田くん?」「岡田くん来てたんだ」「そおだ、借りてたゲーム返さなきゃ」「あれ、ゲームどこやった?」「おかあさーん! 麦茶2つもってきて!」頭から血をだらだらと流し、岡田くんの言っていたほんとうの優しい森田くんがそこにいた。さっきまでの悲しい叫び声を上げた森田の影は無い。森田は高校1年生のあの日に、取り残されたみたいだった。
  • 警官2人に両脇を掴まれて運転席から引きずりおろされた森田の片足はつぶれ、頭からは血が流れる。それでも痛いそぶりは見せず岡田くんに笑ってこう言った。「岡田くん、またいつでも遊びに来てよ」力なく頷いた岡田くんの「うん」は森田に届いたのだろうか。少なくとも、高校1年生のときは届いたはずだ。
  • 音楽室。誰もいないグラウンド。廊下。教室。帰り道に咲いた花。森田が見たかもしれない淡い光景が広がる。「ねえ、岡田くんでいいんだよね?」「う、うん」「岡田くんって何中?」「西三中」「俺森田って言うんだけど、コノマ*9中。ね、もう誰かと話した?」「いや、森田くんが初めて」「そうなんだ」声だけが聞こえる。顔は見えない。けれど、初めて人に声をかける緊張感は伝わってきた。
  • 目の覚めるような青い空、引き立つほどの草木の緑、陽炎のように揺らめく太陽の暑さ、羽を守るためにつけられた扇風機のガードの埃、首輪に繋がれた白の犬、テレビを食い入るように見つめてカーレースを楽しむ2人の姿。空になったグラスを見て、彼は大きな声で言った。『おかあさん!麦茶持ってきて!』

    【ネタバレ】ヒメアノ~ル観ました。また観ます。 - 色褪せぬまま 見上げ歩くよ

 

 

考えながら見たせいで、終わった後は1回目よりげっそりしてしまった。映画を観る前に食べたグラタンとワッフルのエネルギーは全部持って行かれた。

森田に肩入れしながら観てしまった2回目は、どうにか森田が救われる道はないのかと思っていたけれど、森田がこの森田にならずに済むためにはどうしても岡田くんの存在が引っ掛かった。森田の初めての友人。岡田くんの言葉だからと信じて学校へやってきた。結果的に裏切られて闇を深くするきっかけになってしまった。

森田を嫌いのままで終わらせないエンディングを観て、虚しさしか込み上げてこなかった。あの夏のシーンがあったからこの映画をやりたいと言った剛くんは、どんな思いで笑ったのだろうか。順撮りだったから岡田くんに何か思うことがあったのかもしれない。あのエンディングは私にとって救いじゃなく、ただ悲しい爪痕をくっきりと残されただけだった。

 

今回はメモ帳に書き殴りながら観たので、セリフとかも書き出してみました。メモ帳はジャニヲタ遠征必需品に載せた無印のもの。汚くて見れたものではないですが、(なんの記念かわからないけど)記念にに載せておきます。

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そのとき思ったことを書き殴っているので、和草くんが刺されたところで「イタイー」と書いてたり、森田のことを書いていたり。手元を見てるわけではないし映画館の中は暗いので文字が重なってる。書くことを最優先にしてるので字が汚い。そしてひらなが多い。 文字も大きい。

 

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 森田と岡田くんの初めての会話のシーン。とにかく書いていたのでひらがなオンリー。手は忙しなく動いて文字を綴っているけど顔はぼろぼろ泣いているよ。忙しいよ。

 

公開から1ヶ月が経ち、地方の映画館では公開が終わり始めている。私の地元で唯一やっている映画館も7月上旬で終わってしまうので、タイミングが合えばまた初単独主演の剛くんを観たい。さすがに3回目はブログを書くことはないと思うけど……。

 

 

 

*1:映画は順撮りだったらしいので、そうなると剛くんは、金→黒→金→黒に染めたのかなぁと和草くんの回想シーンでふと考えたんだけど、でも効率悪いからやっぱり和草くんの回想シーンは最後のシーンと同じタイミングで撮影されたのかなと考えたり

*2:映画ではそういう流れになっていたけど、そういう認識でいいのかなぁ

*3:1回目を観て確認したいと思っていたので忘れずに観られてよかった

*4:どうでもいい話だけど妹がヒメアノ~ル観終わって肉が食べたいと言い出したのは刷り込みだったのかもしれない。

*5:スーパー 岡田くん 嫌い タイム

*6:それがまさかあんな最後に繋がるとはな……

*7:一瞬だけ見えるお尻は剛くん本人のものです

*8:のけぞったときの剛くんの喉仏が相変わらず鋭くて目が離せなかったです

*9:感じが想像できなかった